チタン?アルミ?ステンレス?鉄?アウトドアでのコッフェル

キャンプ

20年ほど前、住んでいたアメリカで本格的に登山を始めた頃、チタン製のクッカーが初めて世に登場しました。BackpackerやOutsideと言った雑誌でも”Ultralight”というコンセプトが取り上げられ始めたのもその頃だと思います。

登山においては今尚「軽いは正義」だと思っていて、チタン製品は2001年あたりに初めて買ったMSRのTitan potのセットから始まり、所持している調理器具のほとんどがチタン製です。

キャンプにおいては自転車か車で行くので、重さはそこまで気にしません。どちらかというと、用途を重視。ステンレス、アルミ、鉄製のものを使っています。

どの材質が、どんな用途に適しているか、ちょっとまとめてみました。

チタンについて

チタンのコッフェルは使いにくい〜、焦げる〜、熱伝導率悪い〜などと、よく聞く話ですが、チタンが使い方によっては優れものであります。

チタンの熱伝導率は悪いです。デメリットとして、熱が全体的に行き渡り難い。プチメリットとして真冬に手や口が触れても冷たい感じがあまりしませんし、熱源から遠い部分は熱くなりにくいのでアッチッチになりにくいです。

チタンの特性として熱しやすく冷めやすいというものがあります。これは熱容量=蓄熱量が関係しています。

熱容量とは、ある物体の温度を摂氏1度上げるのに必要な熱量です。

C=mc [C=熱容量 m=質量 c=比熱]

神戸製鋼の熱容量のデータを見ると、チタン=アルミ<鉄<ステンレス

という結果でした。上記サイトにも記載されていますが、チタンとアルミは、鉄とステンレスと比べて、1度上げるのに必要な熱量が60%ほど。省エネと言えます。そして、熱量(火力)が同じ場合、チタンとアルミは鉄やステンレスよりも速く温度を上げられるということが言えます。

なら安価なアルミでもいいじゃん?となりますが、同じサイズの鍋、例えばスノピのトレック900の場合、チタンは175g、アルミは265gなので、上の数式から見てみると質量がチタンのほうが小さいので熱容量は小さくなります。

チタン鍋は沸騰するのが速いというのは、こういうことです。

しかしながら、熱伝導率が悪いので、火が当たっている部分の加熱速度は速いが、火が当たっていない部分には熱が行き渡りにくく、焼きムラが起こります。この焼きムラのデメリットとして、

  1. 熱源の範囲よりコッフェルの底の部分が大きいと全体を温めるのに時間がかかる。
  2. 熱源付近が急激に加熱されるので、その部分に焦げが生じる。

1の対処法として、熱源の範囲が大きくなるようにする、もしくは熱源の範囲に合わせたコッフェルのサイズ選びをする。

2の対処法として、火から少し離し、振るなどして満遍なく熱が行き渡るようにする or 1の対処法をやる。これで焦げは回避できます。

この焦げって、火力が集中する部分が狭いバーナーで起こりやすい気がします。経験上、焚き火や炭を使用する場合、底よりも熱源のほうが大抵大きいので底を満遍なく熱することができ、熱が一部に集中して起こる焦げが発生しにくいです。

この原理を理解していれば、チタンのデメリットを回避できます。

チタンのコッフェルで向いていないものは、長時間調理するような煮込み料理など。蓄熱量が少ないので、長時間料理すると燃費が悪いです。

チタンは、軽く、強く、耐食性が高い。登山にぴったりな材質です。

わたしが持っているもの:シェラカップ、鍋、フライパン、キャンティーンカップなど

アルミについて

熱容量はチタンと同等、熱しやすく、冷めやすいです。チタンとの大きな違いは、熱伝導率が非常高いこと。そして安価。デメリットとして、柔らかい材質なので、どうしても傷が付きやすい。そして強度を増すためにチタンより厚くする必要がある=重くなりがち。

個人的にはアルミはかなり優等生だと思っています。チタンのような面倒なことを気にする必要がないですし、乱暴に扱って傷がついたりボコボコになっても「味」が出てきた!というように思うようにしているので。笑

チタンは即席・簡易的な料理に向いていますが、アルミはちゃんと料理したいという場合に最適です。

欠点は、熱伝導率が非常に高いので、ハンドルなどの取っ手がアッチッチッになることくらいでしょうか。あと融点が660度と低く、高熱で溶けたり、変形する場合があります。空焚き要注意です。

わたしが持っているもの:メスティン、鍋、フライパン、飯盒

登山に持っていくものは深さのあるフライパンのみ。厳冬期に鍋をするために使用します。残りはもっぱら下界用。

鉄について

鉄の特性として、熱伝導率が高く、熱容量も高い。全体に熱が行き渡りやすい、熱しにくく、冷めにくいというものがあります。

一度温まってしまば、蓄熱されるので、低火力で調理できます。長時間の調理に向いています。そして、温かいものが長い時間、温かいままで食べられる:鉄板焼き、ステーキ、お好み焼き…お腹が空いてきました…。

デメリットとして、重い。そして錆びやすいので、酸化膜をはるシーズニング、油を薄く塗るなどの手入れが必要。水分の多いものを入れっぱなしにすると錆がでる時がありますが、シーズニングがしっかりされていて育っている鉄は、そこまでアタフタするほどではありません。タワシで取り除いて、またシーズニングをすれば大丈夫。

わたしが持っているのも:ロースター、ホットサンドメーカー、フライパン、鉄板、スキレット、ダッチオーブン

完全にキャンプ用です。山は無理。

ステンレスについて

熱伝導率は低いですが、熱容量は非常に高いです。全体に熱が行き渡りにくいが、一度温まると冷めにくい。そしてステンレスは、鉄とクロム or クロム+ニッケルの合金で、錆びにくく頑丈という特性があります。

魔法瓶がステンレス製という理由がこれだと思います。

こちらも鉄と同様、長時間の調理に向いています。錆びにくいので煮物や鍋を放置しておいてもOK。比重は鉄と同様、重いです。

熱伝導率が低いので、チタン同様ホットスポットに焦げができます。ただ底にアルミをつけ熱伝導率を高めたコッフェルなどもあるので、面倒くさい場合はそういう商品を選ぶのも手です。ガンガン焚き火で凝った料理したいんや〜ってような方には良い材質だと思います。

最初に買ったコッフェルがステンレス製でした。アルミ=柔い=すぐ壊れそう…という勝手な想像から頑丈そうなステンを買いました。チタン製のコッフェルを購入後、山・キャンプ・バックパッキングを共にした友達に譲りました。まだ使ってくれてるかしらん…。

わたしが持っているもの:ケトル、ビリー缶、鍋

最後に

基本、貧乏性なこともあり、キャンプなどでも使えるものも可能な限り登山でも使えるようなものを買っています。なので、軽量なチタン製品が多い…。

山では食器類を水で洗えないので、ティッシュで楽に拭き取れるような料理しかしません。なので、チタンのイケてない部分も気にならないようなスタイルにしかならない。ステーキだって、山では焼きません!下界で焼いて、テン場では茹でるんです!だから焦げ付きの心配もない。しかも、後片付けが楽なんです。Σd(゚∀゚d)ォゥィェ!!

キャンプの時も家族で行かない限りは、大掛かりな料理はあまりしないのでミニマムな装備で楽しんでいます。山の時よりはちゃんと料理しますが!

自分がどういう料理をしたいか、どういうスタイルでアウトドアを楽しみたいか、それに合わせて材質を選ぶと、アウトドアライフをより一層楽しめると思います。*\(^o^)/*

 

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